★モチベーションを維持する為の

 半畳スーパーフラットレイアウトの勧め

 

 鉄道模型の最初は、誰でも組線路と数両の車両。

 でも毎回線路を組み立てるのは億劫。接触不良も起きがちで、試運転もままならずだんだん嫌になってしまう。かと言って常設型レイアウトなど、貧困化進む日本の住宅事情ではますますムリ。折り畳み式レイアウトも過去数多く紹介されましたが、初心者が製作するには荷が重いし、それでもまだ嵩張る。

 

 でも、もっと手軽なものでも運転は楽しめるんじゃないの?

 壁に立て掛けられるぐらい薄型で、置いてパックを繋げば即遊べる。そんな手軽な「運転板」を作れないものか。

 最初はHOゲージ+プチ電車のデモ用に作ったものでした。600mm×900mmでも随分遊べる事が分かり、Nゲージならもっと出来ると考えて作ってみました。

 P1000002レイアウト全景

 

 このレイアウトの特徴は

1)ベースは55mm厚のベニヤ1枚

2)裏面には何も飛び出さない、スーパーフラット

3)カラーフェルトを使った簡易シーナリー

4)これでも2列車同時運転可能なデュアルキャブコン

 といったところです。

 

 ベニヤ1枚でそらないのか?

 初心者の方の多くは一番安い3mmベニヤを使って失敗していると思います。

私も学生時代に同じ失敗をして以降、枠組は必須だと思っていました。

 

 ところがDIYセンターでよく見ると、1800mm×900mmでも3mm厚と比べて数百円ほどしか高くない、やや厚くて丈夫そうなベニヤ板があるではありませんか。厚さ55mm、これを使えば、1枚板でも持ち堪えられるのでは。

 それにこの厚さなら、枕木の厚さまで入れれば6mm長のタップビスが貫通しないで使える。裏側には何も飛び出さないから、壁に立てかけられるし、本棚の裏の隙間にも保管できる。

 そう考えて作ると正解でした。これをNゲージに適用してみたのが今回の新路線です。

P1000016 フィーダー線は全て板上。

P1000012 裏には何も出ていません

 

 レールは中古と新古を買い集めたものです。主力はTOMIXの茶色の旧品とKATOの昔の道床なし組レールの新古品。

 最初はTOMIXレールで外側の上り線を作り位置決め。次に内周の下り線をKATOの昔の無道床レールで作りました。

 固定にはHOゲージの犬釘か、分解する可能性のある区間はタップビス2mmφ☓6mm長または8mm(TOMIXの場合。道床の穴は1.6mmドリルで予め広げる)を使用。KATOの道床なしレールの場合は、2mmφネジ入れると枕木が粉砕するので、2mmφビス用のワッシャを入れて、2本の枕木をまたいで固定しました。ネジ固定は外観上の難はありますが、後から修正可能なうえ深夜作業でも騒音が出ない利点があり、後半では殆んどこちらを使いました。(実はKATO道床なし+HO犬釘の組み合わせは板厚が少し不足で、裏面に怪我こそしないものの微かに飛び出す事が分かったので、後半の工事区間は殆どネジ使用)

レールの長さあたりの単価はKATOのフレキシブル線路が一番安いのですが、フレキは意外とカーブが曲げにくい。HOの時にPECOのフレキシブルと画鋲の仮止め使って悪戦苦闘したので、今回は手持ちの組線路をフル活用しました。固定レイアウト向けに無道床の安い組線路があればもっと楽に作れるのにナ、と思った。

 但し道床付きのTOMIXとはレールの高さが違います。渡り線の前後にプラ板でスペーサーを入れ、僅かなスロープをつけました。脱線が危惧されましたが、500円で買ったKATOの新古の5番ポイントは思ったより調子が良く、問題ないことが分かりました。

渡り線付近2渡り線付近。SLが居るのが問題のアトラス側線

 

 実はここに最初、半値で安売りしていた大昔のアトラス製の6番ポイントを使ったのですが、割り込み脱線を頻発して全然ダメ。6番なのにKATO5番以下の安定性で、調べるとトンデモナク精度が悪かった。まずポイントマシンのカバーが出っ張っていて車輛と「ドカッ」と接触する。(笑)無理矢理削りましたが、今度はトングレール先端が密着しないわ、フログは先端がなまって短かすぎるわ、ガイドレールはバックゲージの許容差が広すぎるわと不具合続出で、反位側では通る電車がみんな西成線事故みたいな股裂きになっちゃう。(大汗)ガイドの隙間に白い0.3mmプラ板を接着して多少良くなりましたが、2個のうちの1個はトングレールの問題が解決せず、使いませんでした。1個だけ渡り線そばの短い側線に使いましたが、ここはリレーラーを置いて出発専用に使うので良しとした次第。このポイントは多分、最初から使い物にならなかった筈です。だから6番にして、それでも駄目だったのか。定価で新品買った人は災難だったなあ。あ私も新古で買ったんだ。(悶)

P1000010 たそがれ風に照明した全景

 

 最初は一部だけでもフレキシブル線路を使う積りでしたが、中途半端に組線路が残っても仕方がないので出来る限り使いました。上の写真の右手前、1両電車が止まっている側線は、伊LIMA社の208Rという急カーブ。20m2両を押し込みたいのでここに使いました。

 このレイアウトの特徴として、本線上の旅客駅を諦めた事があげられます。直線区間にポイントを詰め込んだのでどうにもならない。でも却ってこれで良いという気がします。東静岡貨物駅ふうに信号所とかしつらえれば充分ではないか、と。

 あと私のレイアウトの基準「外に線路を繋げられるポイントを一つ持つ」を満たずために、TOMIX280Rターンアウトポイントを使いました。(写真右上)線路はどこまでも繋がっていかねばならないというのか私の信条なので。左上にもう一つつければ、300mm長が基準のセクションレイアウトに組み込める可能性も出来てきます。

ソニック出発 留置線を出る食玩ソニック

 

 立て掛け式レイアウトに石膏や紙粘土の地形はムリ。重いし砕けて白い粉出るし、第一塗ったら後で収縮して板が反ってしまう。それでもせめて全面ベニヤは避けようと、線路の周囲をダイソーの100の緑色フェルトを両面テープで貼って覆いました。お金があればKATOから1,500円で出ている草地シートを買えば良いですが、そんな金は無い。マージャン台作ってる様に見えるのはハズカシイですが、これだけでもだいぶ戦後の焼け跡感(汗)が薄れてグッド。また意外に防音効果も高く、当社のボロ車輛が急に静かに走り出したのには驚きました。

 コンクリ地の部分は、HOゲージでは板紙を貼って表現したのですが、今回はより軽量化を狙い灰色の水性ペンキで済ませました。(ひええ)但しレールの上にペンキが垂れたら一大事なので、セロテープと新聞紙でマスキングはちゃんとやりました。留置線をこの上に伸ばすと、俄かに貨物駅っぽい感じがしてきます。

C58入線 留置線に入るC58。ストロボ光り過ぎた。

 

 電装系は、以前にHO用に使ったスイッチボックスを改良して転用、というか共用。機芸出版社の「レイアウト全書」などを参考に、マイナスをコモンにしたデュアルキャブコンを何とか実現。

デュアル概念 デュアルキヤブだ 憧れのデュアルキャブ

 

 けれど最初はケチッて中立で断となるスイッチを使わなかった為、側線で知らぬ間に電車が走り出す(相方のパックが生きたままだった)トラブルが頻発。

 このため中立offのあるスイッチに換装。これが秋葉原で130円という大特価。イヤー得したと思ったら固定ネジに2.6mmφ☓長さ6mm以内の制限があり、DIYセンターで探したら安物のネジが無い。切って使うのも面倒なので極平頭のネジを買いましたがこれが4270円もして、またもや安物買いのゼニ失いを地で行く展開でした。

 ちなみに「路線スイッチ」は省略。このため下り線(内側線)はパックのスイッチを後退側にしなくちゃなんない。複線レイアウトを作って、ようやくこのスイッチをつける意味が分かりました。(汗)しかしヨソはヨソ、ウチはウチ。リバース線作るまではつけません。面倒臭いから。(悶)

コントローラ コントローラ内部

 コントロールボックスとレイアウトの接続は、オーディオ用の3.5mmプラグとジャックを使いました。理由はこれが一番安かったから。() 電源の4系統だけならフラットケーブルなど不要です。

 昭和30年代の組み立て式レイアウトには、衣類の金属製のスナップを使っている例がありました。これも理由は同じ。工夫すれば色々なアイデアがあるものです。

スナップ結線例スナップの例(機芸出版社「レイアウト全書」より)

 

 ポイントは現状全て手動。全部電動ポイントなのですが、十分手は届くし板上が配線だらけになるのが嫌でサボってます。奥の留置線だけは電動化しようと思っていますが。

 配線は全て表側。ラグ板の穴を広げて配線固定に使用。留置線用の長い電線はグレーのインターホン用を使い多少目立ちにくくしました。まっすぐに整理すればそんなに違和感はありません。線路への給電は1カ所のみ直接フィーダー線をハンダ付け、後はみなジョイナーにハンダ付けして給電しました。

 

P1000011 食玩特急と床下自作クモニのすれ違い

 

 ともあれ約3日を費やして完成。上の様な情景を楽しみたい方、今すぐに600900mmのベニヤ板を買ってきて下さい。5.5mm厚の、ですよ。一番安い3mmはダメです。(苦笑)

 

私が使った材料と費用は以下のとおり。

<ベース>

 5.5mm厚ベニヤ板 1800×900mmから裁断 880

<線路>

 TOMIX280R×45°×9本=600円(中古)

 同280mm直線×2本=200円(中古、うち1本不使用)

 同280Rターンアウトポイント=980円(中古)

 同280R×15°×1本=52円(中古)

 KATO道床なし組線路249R×30°×12本=900円(新品)

 同5番電動ポイント @500×4個=2000円(新古品)

 アトラス6番電動ポイント @1200×2個=2400円(新古品、うち1個不使用)

 KATOLIMA道床なし組線路中古 直線4本、カーブ4本など 700円(中古)

 プラ板 少々(道床高さ調整用)

 HOゲージ用犬釘(線路固定用) 1袋 200

 2mmφ×6mmタップビス(線路固定用) 1120

 2mmφ×8mmタップビス(線路固定用) 1120

 2mmφ×8mmビス 1120円(ワッシャーを使用)

 

<電装系>

 側線用スライドスイッチ2個 200

 スイッチボックス用ケース(料理用タッパー) 3個入り100円(1個使用)

 スイッチボックス用スライドスイッチ 30円×4個(特売品)

 同固定ビス 26mm×6mm長 4270円×2

 3.5mmプラグ 70円×4

 同ジャック 4個 60円×4

 KATOパック用プラグ 200

 配線用リード線 500円程度

 配線固定用ラグ板、熱収縮絶縁チューブ 少々

<パワーパック>

 TOMIX 旧パワーパック 1200円(中古)

  KATOのパックは以前から持っていたので勘定に入れず。これも2500円で買った中古。

<シーナリー>

 ダイソー 手芸工作用フェルト 緑1枚 100

 同 両面テープ 1巻 100

 水性ペイント グレー 1缶 200

 

材料費合計 ¥12,172円

※ 折りたたみレイアウトを目指して買い集めていたものです。

  累算してみると結構かかっていました。(汗)

 

 最後に書き添えますと、今回のベニヤ板は、正直なところ若干そりました。

 組み立てる前、2日ほど屋外で保管している間に5mmぐらい。HOの時と違い、一寸安物のラワンベニヤを使ったのが祟ったか。油断したなあ。

 しかしレイアウトが1枚の中で完結しているので、幸い運転には全く影響しません。どうしても直したくなったら、15mm角の角材で枠を後付けするつもりです。