看板特急…の闇

4,836円で作ったキハ824両編成(非M中間車電動化)-

 

 今回から撮影時に蛍光灯スタンドで照明。予想以上に好調

 

 ワシら1960年代生まれの鉄道模型ファンにとって、憧れの国鉄型と言えば何と言っても

キハ82系ではあるまいか。

 赤とクリームの鮮やかなツートンカラー。非電化幹線でも見られる親近感と、優等列車

への羨望を併せ持つ、このネコヒゲ塗装の特急気動車を思う存分レイアウトで走らせたい、

と願った人は多かったであろう。

 私が高校の頃、HOではカツミがHOとしては(しては、だよ。私にゃ到底手が出ない)

値ごろ感のある完成車を出していたが、Nゲージでは関水金属(KATO)の製品予定表にず

っと載ったまま。トミーがトミックスブランドを立ち上げる前の話です。

 誠文堂新光社が出した本「Nゲージ」には、その待ちきれないファンの為に、ペーパー

製キハ82の製作記事が載っていたと思う。ちなみにこの本には、カラー印刷済みのクモ

ユニ74の型紙が付録についていました。作らなかったのが悔やまれる…

 

 あれからほぼ40年、実車はとうに引退、NゲージではKATOがリニューアル版のキハ82

を出しているというのに、いまだに私には憧れでありました。

 そのためか鉄道模型再開早々に、先頭車キハ82のジャンク車を静岡に開店したばかりの

ポポンデッタで見かけて、衝動買いしてしまった。ライトが切れているので1,200円。

非動力中古車の購入目安の400円の3倍の価格なのに。

 社宝として持っている積もりが、M無しの中間車キハ80600円、キロ80800

で相次いで手に入り、これは紙で先頭車を作るか、とキハ82-900番台の資料を探したりし

ている間に、またも前出のポポンデッタでライト切れのキハ821,000円で現れ、

…買ってしまった。

 よろしいならば中間車電動化だ、先日のGM製足周りを使おうと思っていたら、名古屋

のぽちで謎の秩父鉄道車を1,200円で入手。

 これがモハ112の床下を持つ電動車だったので、前出のかぼちゃ電車の紙製モハ112

床下に入れ替え。玉突き式に出た103電車の床下をキハ80に組み込む事にした。

 同一メーカーに揃えたことで、取付や加工は簡単になると期待できたし、モーターの背

が低いKATO製電動車なら室内灯も装備できる。つまりほぼマトモなメーカー製セット

並みの仕上げにまでもっていける可能性がある訳で、ここはひとつ頑張ってみた。

 

 まずキハ80を分解する。

 これはKATOの第一弾タイプ。KATOのカタログにある通りに、床下にあるプラ製のツメ

を押し広げて…広げて…広がらない。(汗)

 これだからプラ製模型はイヤだ。説明書通りにプラ製のもので押してもピクともしない。

セットドライバーでコジったりしたら車体が傷だらけになる。考えるうちに、ツメの幅を

狭くしたら抜け易くなるのではと思いついた。台車を外し、カッターでツメを慎重に削る。

 削るのは矢印のツメ(写真はキロ80

 

 4枚のツメを削ったのちに押し広げると、ようやく分解できた。が。

 ア~レ~、車体に床があるうう。(悶)

 このタイプの車体をバラしたことが無かったので、最近のタイプや昔のように、床板も

ツメで窓ガラスともども固定してあるのかと思ったら…。

 非M車の車体剛性を高めるためにこうしたのでは、と思うが。そうなるとモーター付き

の中間車とは、車体構造が根本的に違う事になる。同一メーカーなら後はパチパチ嵌めて

組立てるだけ、という浅墓な目論見は脆くも潰え去った。(笑)

 仕方がないので、車体の床を切り抜く。傷つき防止のため全体をマスキングテープで覆

ったのち、1.6mmφドリルで4カ所に糸鋸の休み穴を空け、000番の刃の糸鋸でガシガシ。

あまり急ぐと熱でプラが溶けて刃と癒着、切断に至るので要注意。車体の裾や屋根のへり

を痛めるといけないので、1mm弱の突起は残した。

 切り残しは、カッターなどで削り取る。これも車体を傷めないように注意、特に表側。

ダイソーのモーターツールを試せば良かったが、結局手作業で仕上げた。

 くり抜き後、電動ユニットに乗せた車体。

 

 仮組みして、問題がふたつ発覚。

 まず103系の車体が若干短い。このままだと連結面が詰まって運転できない恐れがある。

すわ動力台車を大改造かと目の前が真っ暗になったが、アーノルドカプラーをトミッ

クスの長柄タイプ(JC03)に付け替えるだけで凌げると分かり、ひと安心。

 あと同じKATO製なのに動力ユニットの幅が広く、窓ガラスの下部と干渉して車体が嵌ら

ない。無理をすれば車体がメリッと割れそうである。(同様の問題で前出の秩父車は分解時

に車体が割れた…)

 結局窓ガラスを薄手のプラ板に変更することで解決した。どこかの100円ショップで買

った0.4mm厚の透明プラ板が自宅にあったので、これを幅8.5mmに切って加工。窓の凹凸

は無いが、幸い車体のプラ肉厚は薄く、窓の引っ込みは余り気にならない。透明度はこっ

ちのほうが良い位である。

 窓の妻面側はL字形に突起をつけて自ら突っ張るようにした。折り曲げると当然そこが

弱くなるので、非ドア側は3mm角のプラ棒で補強したが、客室ドア側(2位側って言うの

かいコレ)はこれでは外から白いプラ棒が目立ってしまう。自分の足元の暖房用ヒータで

ぬくまりつつ考えているうち、「あ、この熱で曲げたらいいんじゃないか?」と思いついて

試してみた。全体が熱変形するので一発成形は無理だが、L型に曲げた小さな補強材くら

いは作れると分かり、コレを小さく切ってタミヤセメントで角に貼り付けてok。この新し

い窓が屋根内側の突起に当たるので、その部分を削り取る。

 新たに作り直したガラス窓。右側がヒートプレスで作った補強材を入れた側

 

 新しい車体の固定は、GM製動力ユニットの方法にならって簡単に両面テープで済ませた。

屋根は当初、オリジナル同様に窓ガラスに細穴を空けて嵌め込むつもりだったが、そのま

までも窓ガラスが下へずり落ちないと分かり、嵌めるだけにした。持ち上げる時はちょっ

とだけ注意だ。

 上から見れば全くのスケールモデルだが、下から見ると…何だこの抵抗器は。(悶)台車

の間隔も何だか変なので見る人が見れば分かるが、「だまってりゃ分かりゃせんがな」。

 

 

 右は少年鉄道警察官Ko-まわり君(大村による模写、帽子の徽章に注目)

 

 先頭車キハ822両だが、どうしたわけか片方はより精密な現行モデル。運転席窓枠が

クリア部品にモールド表現され、銀色もついてカッコ良いので、こちらを先頭向きにする。

これが現在のNゲージ完成車の水準。アップで見ると16番並みだとひたすら感心。

 但し連結器は前後とも車体マウントの精密タイプ。これではアーノルドカプラーと連結

できないので、ソニックやかぼちゃ電車同様、1.2mm厚のプラ板細工でアーノルドカプラ

ーの取付板を作って台車にあるカプラー跡?の突起へゼリー瞬間接着剤で貼り付けた。

0.1mmリンセイ銅板での補強や、スプリングの省略も同様。

 これをやるとそばのタンクが邪魔になるので裏面にPカッターで筋を入れて容赦なく折

り取る。(笑)後で復旧する時に備えてこれはとっておくが、恐らく私が死ぬまでその日は

来ないであろー。(悶)ちなみにもう一両は旧モデルで、カプラーはアーノルドの台車マウ

ントなので無加工でok

 精密カプラー撤去で台無しになった連結部周辺(汗)

 

 キロ80KATO製自連が入っていたので、カプラースプリングを入れてアーノルドタイ

プに戻す。こうして過去に外したKATO自連が結構な個数になってしまった。そのうちこの

カプラーだけで1編成仕立てよう。

 

こうして遂に夢の編成がめでたく完成。総額では過去最高の金額になってしまったが、

憧れから始まってしまったので、まあいいか。結構、喜びひとしおです。

【支払総額】

キハ82先頭車1,200円+キハ82後尾車1,000円+キハ80中間車600円+キロ80中間車

800円+KATO電動車下回り1,200(謎の秩父車)+差し替えカプラー12円☓3

=合計4,836円。

 KATOの現行モデルは同じ4両バラで新車を揃えると定価¥11,600。これと対比すると

41.6と、私の魔編成入手目標額、定価の50%を下回り、先の食玩つばめ787系より比

率は良い。キハの床下を除けば完全にスケール版。仕入価格の高さに目を瞑った割には、

意外にも好成績でした。

 あとの課題は点灯しない前照灯の修復とライト点灯化。これができれば完璧に製品と同

じです。それとキハ80の床下を何とかすることと、先頭と後尾車で違うヘッドマーク(悶)

を揃えること。これじゃ盗難車のナンバープレートだ。(笑)

 

どアップに耐える、現代水準のNゲージKATOキハ82

 しかしこの写真に写る範囲は何ひとつ改造してない(悶)

 

【後記1】編成完成後、近所のハードオフ千代田店に行ったら、純正のキハ80電動車が2,700

円。頼むから手の届く値段で売らないで欲しいと思った。(笑)

現行でもキシ80以外バラ売りのあるモデル。ネタ作りの為にわざわざ作ったみたいで少し

滅入りました。

 

【後記2】この編成組成後に、アーノルド長柄カプラー(JC03)が遂に残り一個に。トミ

ックスから買おうと思ったら…Web上では何と欠品になってしまった。

 旧180系などのリペアパーツなので、再生産されない恐れがある…。

 これでは簡単には旧車レストアができなくなってしまいます。大きいお友達は皆TNカプ

ラーつけろって事ですか? お金ないのにムリだ。

 急行電車廃止して特急や新幹線に一本化、みたいな現実の鉄道みたいなコトをし

ないで欲しい。ユーザー側の「安く楽しみたい」という考え方を、模型メーカーも少しは

理解してください。入門用には子供がお小遣いで買える金額、といった基準は未来のユー

ザー育成のためにも必要だと思うのですが。

 16番でも遂にベーカーカプラーが入手不可能になりつつあります。ちっちゃな

貨車1両つなぐのに400円とか木戸銭払わされるのは納得がいかん。カプラーや動輪など

基本的なパーツは、もっと安く買えるようにして欲しいものです。

 静岡のさの模型で先日買った16KTM製の中古のワムは、連結器と車輪が取られていま

した。使える部品だけ持ち去られるとは、まるで現実の鉄道のよう。悲惨です。